「東京スカイツリーだと聞いて行ってみたらピンクチラシがベタベタ貼られた電柱だったような作品」と批評家から酷評された前作『後出しジャンケンでも勝てやしねぇ』から約1年(詳細は前回インタビューを参照 http://d.hatena.ne.jp/America_Amazon/20110530#1306762308 )、同情して欲しいうえにあわよくば金も欲しいロック・アーティスト、アメリカ・アマゾンの最新作が何の間違いか発売された。
日本のミュージックシーンにおいて明らかに不要なピースであるこの男に今作の制作秘話を訊いた。
■国内売り上げ、そして世界
ーーーまさか新作が発売されるとは思ってませんでした。
アメリカ:俺もだよ(笑)
ーーー批評家にクソミソに言われた前作は最終的に何枚売れたんですか?
批評家にクソミソにって部分、余計だろ(笑)
そうだなぁ、国内だけで13枚は売れたんじゃないかな?
ーーー国内だけで、というと世界マーケットでの販売も?
いや、言ってみたかっただけよ(笑)
ーーーそれにしても13枚とはまた情けない数字ですね……
お前、俺に喧嘩売ってんのか(笑)
まあ正直、あの頃は俺も調子に乗ってたな。ツイッターで1万人以上もフォロワーがいるんだからさ、もうちょい売れると思うじゃない? それが蓋を開けたら親戚しか買ってなかったっていう……しかもその13枚のうち8枚は俺が自腹で買って友人に配ってるからね。
ーーーそんなに友達いないでしょ(笑)
■あの歴史的名曲を豪華カバー!
ーーーさて、最新作のアルバムタイトルなんですが……
ああ、『U2』ね。
ーーーこれはどういった意図で?
U2ファンが間違って買うんじゃねぇかなって。
ーーーしかも一曲目に収録されてるのってU2の名曲「Where The Streets Have No Name」ですよね……
うん。俺あの曲最高に好きでさ、今回カバーをやらせてもらったのよ。
ーーーカバーって、音源聴きましたけどこれ明らかにカラオケで歌ったのを録音しただけですよね?
へ? カバーってそういうもんじゃないの?
■未知の世界へ飛び込んだ一年
ーーーこの一年でハマったことがあると聞きましたが。
ああ、コンビニに商品を陳列したり、バーコードをあてたりして物を売ることにハマってな。 弁当なんて俺、言われるがままガンッガン温めちゃうからね。
ーーー副業始めたってことですか?
いや、本業っしょ(笑)
■本当のミュージックとは
ーーーアメリカさんの発言を聞いていると、とても音楽に対して情熱があるとは思えないんですが……
……(しばらく考えた後で) 俺はな、こう思ってるんだ。本当のミュージックってのは音楽活動を続けている間だけ立ち昇ってくるものなんかではないってな。そうではなくて、音楽活動の外にこそ真のミュージックはあるんじゃないか。ミュージシャンはライブだけやってりゃいいってもんじゃないんだ。一本の歯ブラシを選ぶのに質で選ぶのか安さで選ぶのか…俺は昨日も近所のスーパーで小一時間は歯ブラシを迷った。迷った挙げ句、買わなかった。いや、正確に言えば買えなかった。何故だかわかるか?
ーーー …………。
財布を家に忘れたからだ。
ーーーあの……すいません。その話って音楽に関係あるんですか?
それが全然ないのよ(笑)
■アイスコーヒーが美味い
あのさ、悪いんだけどアイスコーヒーもう一杯頼んでもいいかな?
ーーーええ。構いませんよ。
あ、ここは文字起こししなくていいから。カットして、カット。
ーーー当たり前でしょう(笑)
■とにかく金がない
ーーーさて、ニューアルバムを経て今後のアメリカさんの活動というのは……
そうだな……オーディエンスの要望に応えて精確に弁当を温める。40秒なら40秒をキッチリ守る。これが30秒だと温めきれてなかったりするからな。大切なのは時間さ。
ーーーバイトじゃなくて音楽活動のことを聞いてるんですけど。
これ以上俺を苛めなくてもいいだろ(笑)
ねぇよ、仕事なんて。
ーーー本日はありがとうございました。