Street Dreams Once Again

俺の名前はB-BOY、東京生まれHIP HOP育ち。


悪そうな奴は大体友達だが枯れそうな才能にめいめい見切りを付け、今じゃマイク置きそれぞれの人生をハイクしてる。かく言う俺もずいぶん昔にマイク置き、いくぶん離れた静岡で畑をジャックしじゃがいもをロックしている。

「さんピンCAMP」で受けた衝撃も遥か彼方、単身ジャンプしてやって来たこの土地でなんとかやっている。
今のキッズにゃさんピンなんておとぎ話? 
多くのヘッズを夢中にさせた「B BOY PARK」は昔話?

KREVAのフリースタイルにノックアウトされ、パイセンのスキルにマイメンはタップアウト、頭をチルアウトさせてマイク握ったあの熱い夏。
それがいつしかワックMCによるまがいもののセルアウトでシーンは沈下。
長いものに巻かれたいビッチの死因は消火。
胸燃やしライム刻む俺達は急ピッチで進化。


マイメンと円陣組んでかけるエンジン、目の前にぶら下がるニンジンにゃ目もくれずエリートにあらがうためストリートで切磋琢磨し身につけたスキル。焦る心がアクセル余計に踏ませちまうが、リアルな奴らはあくせく汗かくことで生きる。

けれど実力がすべての世界、正解はないが日の目を見ないのは堪え難い。タフガイ自称してたつもりでも所詮はふがいない勘違い。辛いからいつだって未来は見ないふり。この身ナイフで削るような日々は堪えた。いつしか俺はラップに背を向け東京を離れた。


身を置くシーンはストリートから畑に変わったが、今、俺はてらいもなくじゃがいもに願い託してる。否、初めは戸惑った農家の日々。それでもNOかどうかを決めるのは自分。クワ振り下ろすうちアガってきた気分。向こう見ずなミミズが土から顔を出し、月が昇りミミズクが鳴き出すまで俺は畑を耕す。

そろそろ収穫の時期、慈悲なきモグラが自慢の臭覚で俺のじゃがいもに目を付ける。喰われる前に喰ってやるのはストリートも畑も一緒、捕まえたモグラに書かせてやるぜ遺書。邪魔者を一掃し掘り上げたじゃがいもは市場へドロップ、振り上げたクワ握る手は緩めず見据えるは次のステップ。


俺の名前はB-BOY、東京生まれHIP HOP育ち。
夢離すなと胸のファスナー上げるのは今も昔も同じ。