昭島マスターベーション

友人らと休みを合わせ、ボルダリングとクライミングをしに昭島へ行ってきた。

40歳の男3人が平日昼間に未開の地・西東京の壁を必死に登る……登った先も、昭島だ。喜びは特にない。

しかし結局のところ、人生とはこうして勝手に作り上げた目標をクリアし、ささやかな達成感を得てはまた次の目標をどこかに築いて乗り越える自慰のようなゲームなのだ。いわば私は昭島の壁に向かってマスターベーションをこなしているに過ぎない。……そう考えると、本当に狼狽する。

 

ボルダリングとクライミングで腕をパンパンにさせた我々40歳のおっさんは、「それなりに重量のある球を転がしたい」というハイな気分になり、ボウリング場へ向かった。

壁をよじ登って球を転がしてるうちに、私はなんだかとても充実した気持ちになっていた。なんという単純さだろうか。おまけに投球後にはハメを外し「クレープ食べようか?」ときたもんだ。 だが、これが人間。中年以降の人生とは、過ぎ去った青春の幻影を追い求める鬼ごっこなのである。

 

夕食でバーミヤンの中華を腹に納めると、体がポカポカしてきた。仲間による「眠いから、帰ろうか?」という提案は満場一致で採用。若い頃であれば見栄を張り、「オールでもしちゃおうカァ!?」などと俺まだまだ元気ですアピールの一つもしたものだが、我々ももう大人だ。眠くなったから帰るというクールな判断が可能になったのだ。

 

そんなワケで、これにて昭島での自家発電の一日は切り上げ。

どれだけ歳を重ねようと、我々は赤ちゃんなのであった。