オッドタクシーとかスパイダーマンとか株の話とか

・オッドタクシー/ネタバレあり

「お前推理小説とか好きだったよな?」と友人から『オッドタクシー』という動物が主人公のアニメを薦められ、これをとても楽しく観た。友人の推し方から察するにミステリーかと思っていたが、正確にはクライム系に位置付けられる作品だろう。使用されているトリックも古典的な入れ替わりトリックであり、しかも全編通してかなり無理のある荒削りな進行だ。話の筋に関しても、なんかビッグバンとか色んな事があって我々の住むこの地球が出来てしまったのと同じくらい、メチャクチャなご都合主義と言ってよい。だがそんなご都合主義の産物である人間として、そこにケチを付けるのはナンセンスであろう。

むしろそれでも自然と物語に引き込まれてしまうのは、この作品が会話劇を主体とした独特のドライブ感を持っており、その荒唐無稽な前進力に身を任せる事がとても心地良いからだ(普段アニメをほとんど観ないので、より新鮮に映ったのかも知れないが)。

物語の最後に明かされるアニメ表現ならではの叙述トリックはユニークで面白かった。ただし作中であまりにもヒントを出しすぎである。

 

スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム

友人と昨日鑑賞してきた。こちらも『オッドタクシー』と同じく、頭カラッポにして荒唐無稽な前進力に身を任せるのがすこぶる楽しい作品。起承転結の〝起〟に突っ込み要素が多すぎるが、とにかく物語の推進力に身を委ねていれば本当に充実した2時間半が過ごせる。

悪の救済が即ちスパイダーマン自身の救済に繋がるというテーマを、ここまで上手くまとめ上げた脚本が素晴らしい。〝かつて〟スパイダーマンを観てきた全てのファンに贈られるスペシャルな作品だった。

 

日経平均暴落

このブログを書いている時点で日経平均は悪夢の877円安。こちらも上記2作品と同じく、頭カラッポにして荒唐無稽な下落力に魂を任せるのがすこぶる楽しい作品。だって私はもう損切り済みで株を持っていないし。日経平均という作品は、本格ミステリーでもありクライム・サスペンスでもある多面的な味わい方ができるサイコロジカルホラーだ。もはやこのミステリーは名探偵不要である。大量殺人の犯人が株式市場である事は、物語冒頭ですでに示されているのだから……。その殺人トリックも明確にされている。即ち、大損させて殺した、である。

 

ただし、奴を捕まえる術は、歴史上存在していない。