フリーランスVSコロナ 〜The Big Blowdown〜

4月からフリーランスで生きていくというのに、コロナのこの猛威っぷりである。

 

自粛、自粛で経済活動は縮小していくばかり。これはもう人生も自粛しちゃおうかなとVRのスケベ動画を買い込みバーチャルの世界へ逃避しようかと思ったが、ひと通りVRで乳房に目を通してやる事をやったら、まるで賢者のような澄んだ心持ちになり性欲が減退してしまった。

 

性欲が引っ込むとお次は食欲の出番であるが、ものを食うには幾らかの金がなければならない。おまけに、YouTubeでも報告した通り、見て見ぬフリを決め込もうかと考えていた株式投資のウン十万円分の含み損のことも頭をよぎり始める……。

 

 

そんなワケで、仕方なしに営業活動をすることにした。とにかく仕事を得なければならないのだ。

 

数社回ったが、やはりこんなムードの中で飛び込み営業を受け入れてくれる会社は少なく、私はトイレットペーパーの芯にこびり付いたが為に『人間の尻を拭く』という本来の目的を果たせぬまま芯と共にゴミ箱へ捨てられる残り紙のような気持ちになった。

 

しかし、捨てる神あれば拾う神ありである。

 

2社だけは〝とりあえず話を聞こうじゃないか〟と私を受け入れてくれたのだ。あらかじめインターホンを鳴らす前に壁に向かって頭突きを繰り返し、額を割っておいたのが同情を引いたのかもしれない。

 

彼らは「こんな時期に独立ですか!?なぜ?!」とサスペンスドラマで崖の端で真実を語り始めた犯人を説得するような感じで食い付いてくれた。まさかコロナ騒動で自分をより強く印象付けられるとは……投資のほうでは私に頭部が木っ端微塵に吹き飛ぶような致命傷を与えた彼らが、営業活動では首から上が無い私にキスをしてくれるというのだ。なんてありがたい話だ!

 

帰り道、結局のところコロナは私にとってどのような存在なのかと考えざるを得なかった。

 

営業訪問先の彼らに言われたように、私は崖の端に追い詰められた絶体絶命のフリーランスなのかもしれない……そんな考えを払うかのように日頃お世話になっている〝FANZA〟さんのサイトへ飛んだら、なんと先日私が購入したVRスケベ動画がセールになっているではないか!!!!完全に、ハメられた……。

 

失意のまま帰宅し、ムシャクシャしてVRヘッドセットを装着して、私はこう確信した。

 

実際は、すでに崖から海へ

落下してる途中なのだ……と。

 

-了-