我が家の孤高の三毛猫、ピングロお嬢様。
12年も一緒に暮らしていながら、彼女との心の距離は未だ墨田区からブラジルの片田舎ポッソスデカルダス市ほども離れている。
そして、今日も鋭い眼光が俺を射抜く……。
彼女はその眼力でこう命令しているのだ……。
『おい下僕。メシはよ』
「はい」
でも、要所要所でしっかりデレるのが男を離さないお嬢のテクニック。
「もっと撫でてぇ〜♡」と、自ら額をくっ付けてきたりと、そのあざとさはケナガマンモスをがっつり氷漬けにしていたシベリアの永久凍土をも溶かす。
こうして俺は、一生彼女の下僕でいようと思い直すのである。
最近はほんのり背骨も浮いてきたお嬢様だけど、長生きしてね。