無職日記 3月5週

KADOKAWAさんにお声がけ頂き、電子書籍の打合せに行って来た。

担当の方に「アメリカさんと言えば無職!そこで例えばですが、無職をテーマに執筆を…」とアドバイス頂きながら、俺は何気なく自分の名刺を眺めた。頭に堂々と『designer(デザイナー)』と入っている。すぐさま極太マジックで『designer』を塗りつぶし、『no job』と殴り書きしておいた。

それにしても、無職でいたら仕事の依頼が来るとは皮肉なものである……。


やっぱ生涯無職でいよう。


そう心に誓った。



【無職日記 3月第5週】


【3月26日(土)】コンビニのコピー機の周りに集まったヤンキー達が「もしもし?今送ってみたけど届いた?……マジか!!?おい、届いたってよ!!」「凄ぇ……」「これがFAX……」「ネットより前にこんな便利なモンが?!」とざわついてて、春休みの到来を感じて目眩がした。


【3月27日(日)】珍しく美女とのデートであった。例えるなら猫好きがたまにはウーパールーパーでも触るかといった気まぐれを起こすようなもので、時にこうした幸運がウーパー側にも巡ってくるのだ。その上、小生は無職。美女も「凄く嫌なプレミア感付いてきたねw」と笑っていた。……引きつってさえいた。


【3月28日(月)】定食屋の隣のテーブルで「彼女の両親に持ってく手土産って何がいいんだ?」「高すぎず、会話が弾んですぐ消費できるものがいいらしいな。……となるとTENGAとか?」「いや、親父さんは喜ぶだろうけどお母さんが納得しないだろ…」と相談が続いているが、親父さんは納得できる前提なのかよ。


【3月29日(火)】遊びに来た姪っ子に「ゆーすけは何でおうちにいるのぉ?」と聞かれ「仕事が……ないんだ……」と肩をすくめたら彼女も察したらしく、「……しぃちゃんが欲しいもの買ってあげようか?」と俺の頭を撫でなで。こんな時どう反応すれば良いか分からず、「お願いします」と4歳児に頭を下げた。


【3月30日(水)】カレー屋で兄ちゃん達が「俺の趣味を変態変態言うけどよ、それって結局目立って見える少数派を叩くのと変わらないじゃん。クラスの飛び抜けて太ってる奴を豚ってバカにするのと同じだろ?」「いや、でもやっぱウンコ食べる系のAVに興奮するのは……」と話してて、カレーの味が引き立ち一層おいしく感じられた。


【3月31日(木)】改札でもたつくお姉さんの後ろに並んでたおっちゃんがわざとらしく嫌みな舌打ち。そのまま隣の改札に滑り込みICカードを叩きつけたおっちゃんが料金不足の警告音と共にがっつりゲートを閉じられてて、なんだか改札機がイイ男に見えてきた。機械にも心は宿るのだ。


【4月1日(金)】新入社員の声出しなのか知らないけど川原に集まった男達が「その服昨日入荷したばかりの新作で俺も一着持ってるんスよぉー!」「「「その服昨日入荷したばかりの新作で俺も一着持ってるんスよぉー!!!!」」」と復唱を続けてて、なんかパワー貰っちゃったな。


【4月2日(土)】ヨドバシカメラで男の子が「三国志13がいーの!三国志13がいーの!!」と駄々をこねてて、お父さんが「ほ、本当に『三国志13』でいいのか!?『妖怪三国志』じゃなくて?!三国志13はジバニャン出ないぞ!!?お父さんが小学生の頃から続いてる本格歴史シミュレーションゲームだぞ?!」とメッチャ動揺してた。


今週の総括

お願いします。