無職日記 FINAL

俺は間違っていた……。

 

今まで9ヶ月近くも働かずに何をしていたのだ!?

 

労働こそが人生なのだ! 

 

1本の電話により、俺は生まれ変わった……!

 

『きみを採用する』

なんて素晴らしい響きの言葉なんだッ! 

働くぞ! 365日24時間働くぞ! 

会社は人生! 

会社は運命! 

会社に感謝! 

 

無職よ!定年後にまた会おう!

 

【無職日記 FINAL】

 

【6月21日(火)】無職、ついに最終面接へ。前情報では実技試験を経て最終面接へ至るのは3人……。ここまで来て馴れ合いみたいな試合はしたくない。文字通りのデスマッチを希望だ。誰がライバルなのか分からない以上、リクルートスーツは全員敵である。俺は闘う時、相手と場所を選ばないことにした。

 

【6月23日(木)】無職ライフの分岐点、最終面接へ行ってきた。全てを出し切ろうと、デザイナー以外にもライターとして雑誌連載や電子書籍の執筆をしている事を猛アピール。すると社長が食いついてきた!「来月発売という書籍はどんな内容なのですか?」「……。『無職日記』という……コラム集です……」。失笑だった。

 

【6月26日(日)】最終面接を受け連絡待ちだと伝えると、決まって周囲がざわつくようになった。「お前、無職捨てるのか?!」「お似合いだったのに……」といった声に、俺は「あいつ(無職)とじゃ将来が考えられない」と答えるが、心が傷むのも確かだ。でも……10代20代の恋愛は、もう出来ないんだょ……。

 

【6月29日(水)】採用の電話を受け、無職生活にとうとうピリオドが打たれた。しかし、9ヶ月もバケーションを楽しんだというのに、驚く事に全身の細胞はさらに休暇を欲している。入社日は今週の金曜日……。明後日には社会復帰しているのだ……!!

すっかり無職に染まったこのボディが社会の空気に耐え切れるのか、不安は増すばかり。とりあえず初日に向け、仮病を検討中である。

 

今週の総括

無職、社会に還る!!

……だが戻ってくるかもしれない。