深夜プラス1

会社員時代にはなかなか出来なかった事の1つに、深夜徘徊がある。

 

私は深夜の町を散歩するのが好きだ。夜中の2時を回ると、のそのそと外へ出て気の向くままに足を前へ前へと投げ出してゆく。

 

出歩く者が1人もいない夜に閉ざされた町は、自分のために用意された箱庭感があってとても心地良いのである。

 

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私が徘徊する為だけに用意されたフィールド

 

出社という概念のないフリーランスは深夜徘徊にうってつけの働き方だ。仕事を始めた時が始業なのである。

 

明日のことなど気にせず、ラクーンシティをぶらつくゾンビのような足取りで町を徘徊していると、妙に心が落ち着き、変な言い方だがこれこそが世界の真の姿なのではないかという気がしてくる。

 

目覚めれば、人々は会社員、主婦、フリーター、ドM男を罵倒する女王など、それぞれにあてられた役割を演じるべく再び活動を始めるのだ。人間社会という、大いなる虚構の中で……。

 

そのような視点で見ると、徘徊というのはなんて意味がなくピュアな行為なのだろうか!

 

……そんな不毛な夢想を続け、ゾンビは今宵も、町をゆくのである。

 

 

-了-