無職日記 2月2週

【無職日記 2月第2週】


【2月8日(月)】株の売買でリコーダーを360本買える程度の利益を得て「今月はもう働かなくてよし!」と万歳三唱していたら、久々に広告代理店からTEL……。忙しいと嘘ついて断ろうと思ったら、クライアントは開口一番「読んでるッスよ、無職日記」。労働にさよならをいう方法は、未だに発見されていない。


【2月9日(火)】電車内でカップルが「とうきょうとっきょとかきょきゅ……もぉ〜笑わないでよぉ!ケン君は言えるのぉ?」「言えるに決まってんじゃん。Tokyo Patent Permission Bureau(東京特許許可局)」「流暢〜!さっすが帰国子女!」とかやってて、なんだか体が震えてきた。


【2月10日(水)】ジム仲間の人妻が「14日は来れないんで少し早いですけど」と、手作りチョコをくれた!!無職だけどいいんですかと聞いたら「無職とか関係ないですw」と笑ってくれた!!!そうだ!!愛の前では無職も好印象!!卒論だ!!!人妻はジムの会員全員にチョコを配っていたが、卒論だ!!!


【2月11日(木)】路上で泥酔したおっちゃんが「バブルの頃はタクシーを札束で止めてたモンよ。こんなふうになww」と若い兄ちゃんの前で紙幣の束を振ってドヤっていたのだが、風が吹いて紙幣が宙を舞った瞬間「どぅわわわああアアぁぁァぁァァぁァァーーーッッ!!?!?」と絶叫し、思いっ切りバブル弾けてた。


【2月12日(金)】ブックオフで本を売る際、承諾書の職業欄で思わず手が止まった。改めて自分が『無職』である事を認識した瞬間である。職業なし……その事実に動揺したのだろうか、気づくと俺は『主婦』に丸を付けていた……。店員はしばし俺を見つめ、承諾書を受領した。主婦の俺、誕生の瞬間である。


【2月13日(土)】友人に「明日はバレン…」と話しかけたら『殺すぞ』というプレッシャーを目でかけられたので「…バレンサ。ポルトガル北部、スペインとの国境をなすミーニョ川河畔にある中世の要塞都市・バレンサの事を考えながら過ごすつもりだよ」と慌てて言葉を継いだら、「俺もそのつもりだ」と微笑まれた。どんなつもりだよ。


今週の総括


無職は卒業。


今後は主婦。