無職日記 4月4週

正直に言うと今、無職なのに毎日が充実していて本当に幸せで。心が満たされていて。他に望むものと言ったら可愛い恋人と、いい車と大きな家と、地位と名誉くらいのもので。他にはもう何もいらないって感じなんだ。

 

あと職も欲しい。 

 

【無職日記 4月第4週】

 

【4月16日(土)】友人夫婦の赤ちゃんと初対面。終始眠りこける赤ちゃんは平日の俺のようで、親近感が湧く。考えてみれば彼も俺と同じ無職。夢の中に逃避しようというその気持ちもよく分かる……という事を友人に伝えたら、「頼むからお前と同列で扱わないでくれ」。つまり俺は、赤ちゃんじゃないのか……?

 

【4月17日(日)】何の祝いか知らないけど駅前で兄ちゃんが仲間達に胴上げされようとしてて「危ないから無理!!胴上げないで!胴下げて!!胴上げないで!!胴下げるッ!!!」と赤白の旗上げみたいなこと叫びながら結局宙を舞ってて狂気を感じた。

 

【4月18日(月)】無職、ハローワークに立つ。求人検索PCの前でパズドラに夢中な若者。相談そっちのけで職員に安倍政権批判をブチまけるおっちゃん。鏡でキメ顔チェックに余念がないギャル。彼らを観察しながら無職日記の内容を考える俺。「職業安定所」にこれだけ安定感のないメンバーが揃っていいのか?

 

【4月19日(火)】定食屋で「俺来月40になるのに初歩的なミスばかりで……この仕事向いてないんスかね……」と肩を落とす部下を「仕事で辛い事は多くあるが、帰りを待ってくれてる家族がいるんだ。諦めず頑張ろう」と励ますおじさん、部下の「自分、2月から独身ですが」の一言に「ングゥ」みたいな音を喉の奥から出し固まってた。

 

【4月20日(水)】無職の日々は節約の日々でもある。スーパーで半額シールが貼られる時間帯を熟知し、雷よりも素早く動き食品を回収する。時には半額商品にさらに50円引きシールが重ね貼りされる事もあるのだ!まさに安さの界王拳。そんなデフレバトルを求めた結果、俺はとうとう何も買えなくなった。

 

【4月21日(木)】スタバでどんより落ち込んでる女子を友人らが「元気出しなよ。手料理の失敗なんてよくある話じゃん。彼も次に期待してくれてるって!」「大体あんたが出したの豚足でしょ? そもそも手の料理じゃないし!」「うん! 豚足は手料理ノーカンだよ」と励ましてて、「新しいな」と思った。

 

【4月22日(金)】飲み屋の階段でお姉さんを口説いてたチャラ男が「でもあたしゴウ君よりだいぶ歳上だよ?w」と笑われたものの「俺レトロゲームとか大好きなんで大丈夫っスよ!グラフィックとか操作性は古くても芯があるものなら耐えるの余裕なんで!!」とアタックを続けていたが、お姉さんの顔はワゴンセール品並みにシケていた。

 

【4月23日(土)】親友の結婚式で初対面の人々に「本当に無職なんですか?」と聞かれ動揺。新婦を通じて俺のツイッターアカウントをフォローしてくれていたようだ。「小生は正真正銘の無職にございます」と自己紹介で無職アピールをするうち、自己肯定にも似た不思議な感覚に。健全な無職の第一歩は元気な挨拶から始まるのだ。

 

今週の総括

無職でございまぁ〜ッす!!