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ホスピタル

金曜の晩からこじらせていた風邪が悪化してしまい、病院へ行ってきた。


待合室で待っていると、「……つまりヘヴンの上にスーパーヘヴンというものが存在し、さらに上にはウルトラヘヴンなる領域もあると言うのですね?」「はい。自分はまだスーパーヘヴンの6合目辺りでくすぶってますが、じきに視えてくるとは思っています。それが宇宙の意志ですから」「……分かりました。薬を用意しておきましょう」という声が診察室から聴こえてきて、来る病院を間違えたのかと思ってしまった。


さらに俺の前に呼ばれて診察室へ入って行った人が「いいですか先生、驚かずに聞いてください……ダーク・タワーが倒壊すれば、存在するすべての並行世界と宇宙がバラバラになってしまいます。何としてでも、ダーク・タワーを修復せねばならないのです。そしてそれは、運命の導き手である私にしかできないことなのです」「……なるほど。で、そのダーク・タワーはどこにあるのですか?」「町田市です」「……分かりました。薬を用意しておきましょう」などと話す声が聴こえてきて、これはもう完全に来る病院を間違えたなと確信した。


そしてとうとう俺の名が呼ばれた。

覚悟を決めて診察室へ足を踏み入れる。

シワのよった白衣を着た医師に促され、俺は椅子に腰を落ち着けた。


「今日はどうされました?」と聞かれたので「風邪を引いてしまったみたいで…」と伝えると、どういうワケか医師の顔はみるみるうちに曇っていった。


そうして難しい顔でしばしの間俺を眺めた後、

医師は意を決したように口を開いてこう言った。



「あの、風邪って何ですか???」



俺は鼻水を吹き散らしながら、そのまま前のめりにブッ倒れた。


〜了〜