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少年アメリカ・アマゾン危機一髪

ノスタルジー 物語・短篇

今日みたいな寒い日だった。小学生の頃、ストーブをつけたまま布団に入り、「これ最強www あったけぇwww ていうか暑いwww」なんて喜んでいるうちに湖畔に浮かぶかまぼこ板みたいにまどろんだ俺は、あっという間に夢の世界へ落ちていった。


数十分後、真夏に食う味噌煮込みうどんみたいな気持ちで目覚めた俺は、一瞬まだ夢の中にいるのかと錯覚した。周囲に深い霧が立ちこめていたからだ。今だったら「なんだか映画ミストみたいだなぁ。バッドエンドの暗示か…?」なんて気づけたのかもしれないが、当時の俺ときたらナメクジをレンジでチンした程度の脳みそしかなかったものだから、「霧スゴwwww それにしても妙にリアルな夢だなwww」なんてゲラゲラ笑い、また眠りに落ちてしまったのだ。


次に目覚めたとき、ふやけナメクジ脳の俺も『何かヤバいことが起きている』ことに気づいた。霧どころではない、辺り一面真っ白になっていたからだ。今だったら「ふむ……これがホワイトアウトか……織田裕二主演の映画で観たわ」と冷静に対処出来たのかもしれないが、当時の俺はタマキンをすぼませて布団から飛び起きるのが精一杯だった。


「これ霧じゃない…!! 煙だ!!!」



息を吸い込むとむせ返った。バケツ一杯に溜まったキンカンの液体を頭から浴びたように目も異常に染みる。目に涙を浮かべて火の元、ストーブへと目を向けた俺は絶句した。


ストーブの上で、ゲームボーイがこんがり焼けている…!!


そう……俺はゲームボーイがストーブの上に置いてあったことに気づかず、火を点けてしまっていたのだ。仕方ない、よくあることだ……俺は白い世界にたたずみ、背中に羽をつけて天使の輪っかを乗せたゲームボーイが空へと旅立つ幻覚を見た。

ゲームボーイを見送ると、全盛期のディープインパクトだってこんなに速く動けないだろというスピードで俺はすぐさまストーブを消し、窓を全開にし、部屋のドアを開けたんだけどやっぱり閉じた。


このホームホワイトアウトが親に気づかれたらヤバイ…!



身の危険を計算する時だけは処理能力がやたらと上がる俺は、とりあえず事態が収束した後で親に報告する道を選んだ。ぺろっと舌を出し、「ストーブの上でゲームボーイ焼いちゃった」なんて報告すれば、「可愛い息子め☆コツン!」と額に拳を当てられるくらいで済むはず。しかし、煙が出ていかねぇんだわコレが……

仕方ないのでうちわを手に取り窓の外へ向かって必死にあおぐも、体のほうは「アンタ吸ってはいけないものを吸い込んでまっせ!死ぬぞッ!!」と激しくサインを送ってくる。


「死んでたまっかよおおぉぉぉッッ…!!!」朦朧とする意識の中、煙に涙を流しながら狂ったようにうちわで部屋中をあおぎまくっていたら、ノックに続いてドアが開く音が聴こえた。どうやら俺、気が動転して喚いていたらしい。


「何……してるの?」とマイマザー。

「何か……暑くて…???」と平静を装いながらうちわで顔をあおぐ俺。



マザーの鉄のような拳が俺の頭部へ振り下ろされたのは、


言うまでもない。