「スーパーうんちくんですって?」
予想していたことではあったが、彼女は猫にオシッコをひっかけられた電柱みたいな顔で僕を見た。
「そうなんだ。これからは僕のこと、そう呼んでほしいんだよ」と僕は懇願した。
すると彼女はしばらくの間、パンダのいない動物園で売られているパンダのぬいぐるみのように固まってしまったのだが、やがて発情期のムツゴロウさんのごとく表情を崩すと、「わかったわ。スーパーうんちくん」と僕を呼んでくれた。
この安アパートで彼女と暮らし始めてもう2年になる。
ときには喧嘩もしたり、嫌がらせで洗濯機を6台購入されたりもしたけれど、結局最後はお互いの放屁でリズムを取り合い、セッションを楽しむことで仲直りしてきた。
いわば僕たちは屁をひねり出すことで関係を維持してきたのだ。
「スーパーうんちくん……」感慨に耽っている僕の横顔を見つめながら、彼女はささやく。
もちろん僕はこれが彼女の "合図" であることを知っている。
僕は彼女の瞳を見つめ、次いでゆっくりと視線を唇へ落とすと、そのまま口づけした。
小さなベッドを激しく軋ませながら、僕らは思いつく限りの体位を試して交じり合った。
僕はできうる限り射精を遅らせようと必死になり、自分の右手をグーにしてそのまま口に突っ込みながら懸命に腰を振った。
彼女は僕が動くたびに「あっ……スーパー!」、
「あぁんっ スーパァァァッ!!」、
「あっあっぁぁっ あああぁぁっ
スーーーパアアアアァァァァァッ」と喘ぎ声を上げ続けた。
やがて僕は腰を動かすのを中断し、口に頬張った右拳を苦労して引き抜くと、フライパンに話しかけるような調子でこう言った。
「あのさ、スーパーって略すの、
やめてくれないかな?」
〜完〜