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ロング・グッドバイ

音楽 ノスタルジー

先日、SHIBUYA-AXにて久しぶりにライブをおこなった。


俺が喉を壊してからバンドは休止していたので、実に1年ぶりのライブということになる。
先日のライブに来てくださった方々にはこの場を借りてもう一度感謝したい。本当にありがとう。


リハのときから感じてはいたけれど、今回のライブはいままでにない充実感があった。
俺の声の伸びはイマイチだったかと思うが、この1年間でメンバーみんながもの凄く技術的に進歩していて圧倒されてしまった。何だか俺一人だけ置いていかれてしまったような気がして、少しだけ寂しくもあったが、あんな熱いプレイをしてくれる仲間とまた一緒に音楽がやれることが本当に幸せだった。

俺も今年はもっともっとヴォーカリストとしての腕を上げてくから、みんなよろしくな!


さて、ライブのセットリストを振り返りつつ感想などを。


ベースのAKIRAの要望で、一曲目は「ドリフの大爆笑 オープニングテーマ」に決まった。なぜ一発目からドリフを選んだのかというと、専門学生だった頃に俺は高木ブーのサークルをつくっていて、AKIRAとはそのブーサークルを通じて知り合ったからだ。

ちょうど、俺が当時やっていたMr.Children2」というバンドのベースが脱退した頃で、新しいベースを探していた俺がAKIRAを誘ったのが今のバンドの始まりだったのだ。


AKIRA加入により俺たちはバンド名を一新し、
現在のMr.Children3」が生まれたのである。


そんなわけで俺たち「Mr.Children3」にとってドリフのテーマソングは重要な曲なのだ。とはいえいきなりドリフをぶつけるのは、間違えてチケットを買ってしまった10代のMr.Childrenファンに申し訳ない気持ちもあり、かなり今風のアレンジを加えてみた。

あまり技術的なことを書いてもしらけてしまうかと思うので簡単に説明すると、佐野元春AKB48×レディー・ガガみたいな、割とテクニカルで男気のある四つ打ちのアレンジにして、曲も4分半程度にまとめた。これ、原曲を知る人にはかなりハッとするコードだったのではないかと思う。

2曲目は俺たちMr.Children3の代表曲名もなき詩 〜第二章〜」だ。
ご存知のとおりこの曲はギターのAYUMIによる8分間に渡るソロがあるわけだが、ギターソロの間に俺とドラムの渡辺で沸騰した激熱おでんをたいらげるというパフォーマンスを行うのがかなりきつかった。

3曲目は俺たちには珍しいポップチューンメル・ギブソンさん音頭」で、4曲目は軽快なラップソングのマリオカートで勝てないからお前を殺すYO!」だったのだが、沸騰おでんで舌に重度のやけどを負ってしまい、ほとんど鼻歌になってしまった。……本当に申し訳ない。
毎回あのおでんで二、三曲は鼻歌になってしまうので、次回からはおでんよりもっと食べやすい料理を考えたほうが良いような気がした。


5曲目は新曲のミディアムバラード「きみはGIRL NEXT DOORより魅力がある」だ。

これは好きな女の子に「きみって存在感があるね。GIRL NEXT DOORよりは」と告白した男が女の子に絶縁されるという、俺の実体験に基づく歌詞のバラードだ。
この曲では渡辺がドラムを叩きながらピアノをひいて、火の輪をドラムセットごとジャンプしてくぐるという見せ場が用意されていて視覚的にも割と新しいことに挑戦していると思う。


6曲目は初めてAYUMIが作詞・作曲した「将来の夢はバッタ」だ。

俺はこの詩を読んだとき、AYUMIのような美人でギターのテクニックもプロ顔負けの才能にあふれた人材が、なぜこんなダンプカーに轢かれたドブネズミみたいなバンドにいるのか、その理由がわかった気がした。結局のところ彼女も"俺たちの側"の人間だったのだ。
この楽曲の見所は何といってもAYUMIとAKIRAによる怒濤のギター&ベースユニゾンだろう。
二人の掛け合いはまるで呼吸をしているように自然で、圧倒されてしまう。
俺と渡辺も負けじと二人羽織で20段の跳び箱に挑戦したりしていたのだが全く息が合わず、まるで船場吉兆の母親と息子のようなザマであった。


初の全編英詞に挑戦した「Welcome I have not get to at that pen? 」を7曲目に、カーマニアである俺の膨大な知識を詰め込んで作詞した「日本のセダンはタイヤが四本ついてるぞ!」を8曲目に持ってきて、9曲目に渡辺が海水を満たした水槽の中でドラムを叩きながらお経に挑戦する意欲作「イチかバチか」という哀愁バラードを演った。


ラストは34分間に及ぶ二部構成の壮大なプログレチューン、「うちのばあさんを責めるな」である。
そう、俺たちは元々プログレバンドとしてキャリアをスタートしていたのだ。

この作品は突如宇宙から飛来した、顔は松岡修造で首から下が巨大な男性器という不気味な化け物軍団がうちのばあさんを取り囲んで「寝ている間もベストを尽くせ」と説教を垂れるという、おぞましい楽曲だ。

二部構成のこの曲の第一部は、修造型宇宙人の襲来をAYUMIの轟音ギターとAKIRAの超絶ベーステク、渡辺の一見テクニカルに見えて実はすべて録音という変則ドラムのインストで表現する。俺はその間4mの竹馬に乗って客席を練り歩いていた。

楽曲の第二部からはヴォーカルが入り、命を賭けて化け物軍団に立ち向かう祖母の姿を50本のマイクを抱きかかえた俺が流麗に歌い上げる予定だったのだが、ここで予想だにしない出来事が起こった。


なんと、ドラムの渡辺がこと切れていたのである……!!


9曲目の「イチかバチか」で行った水中パフォーマンスが影響したのかもしれない。
渡辺は腹を海水でパンパンに膨らませ、すでに死んでいた。

俺は反射的にAYUMIとAKIRAに目をやった。すると二人とも、俺の目を見て力強く頷いてくれた。
確認するまでもなかったのだ、三人の意志は一つだった。

『曲を……続けよう!!』


こうして、渡辺のドラムがすべて録音だったこともあり、俺たちは何とか渡辺抜きでライブを終えることができたのだった。


と、


そのようなワケで、


現在「Mr.Children3」は水中でドラムを叩きながらお経を唱えられるドラマーを募集中である。